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共同研究について

NTM Host Research Consortiumについて

肺NTM症は難治性の慢性進行性呼吸器感染症を起こします。本邦でも肺NTM症の罹患率は増加し、肺結核の罹患率を超えています。しかし、根本的な肺NTM症の治療は数年に及ぶ複数の抗菌薬の内服を要し、中には一生涯、抗菌薬を要する患者さんもいらっしゃいます。 肺NTM症はヒトからヒトへの感染は基本的になく、感染・発症には宿主・病原菌の両者の関与が推測されますが、その病態には未だに不明な点が多く、さらなる研究の進歩が必要です。 MAC菌を含めNTMは水や土壌等の環境中に常在する弱毒菌であるにも関わらず、主に中高年以降の痩せ型の女性等に好発することから、疾患感受性遺伝子の存在が示唆されていました。

研究代表者は、世界で初めて、肺MAC症患者と対照者との遺伝子型を網羅的に比較するゲノムワイド関連解析を実施し、細胞内外のイオンやpHの調整に重要な役割を担うCalcineurin B homologous protein2(CHP2)領域の遺伝的変異が強く発症リスクと高い関連性を示すことを報告しました(Namkoong et al ERJ, 2021)。さらに、韓国サムスンメディカルセンターや米国国立衛生研究所との国際共同研究により、この遺伝的変異が日本人集団のみならず、韓国人集団やヨーロッパ人集団においても関連していることを示しました。

今後、さらなる国際的な共同研究を展開することで、肺NTM症の集団間の共通性と個別性を紐解く、日本国内だけの研究では得られない新たな知見が見出される可能性があります。さらに、疾患感受性遺伝子が同定された際には、現状の抗菌化学療法だけでなく、宿主因子への介入が新規治療につながる発展性があります。

国内の枠を超えた、さらに国際的な肺NTM症の宿主因子に関する共同研究の枠組み・研究コンソーシアムを立ち上げ、肺NTM症の疾患感受性遺伝子に関する研究の一層の発展を目指します。

このコンソーシアムでは、国際的な大規模コホートを用いて、NTM感染症の宿主要因に関する共同研究を加速させることを目的としています。患者さんのより大きな集団(コホート)の研究を行う事で、GWASにおいてより多くの候補遺伝子を同定することが可能になると考えられます。さらに国際的な共同GWASを実施すれば、肺NTM症の発症に重要な経路を明らかにするだけでなく、NTM症に関連する候補遺伝子をさらに発見できると期待しております。 現在、すでに国際共同研究を開始しており、日本、米国、韓国、オーストラリアの研究者と共同研究を開始しております。将来的には、このコンソーシアムをベースに、世界中の研究機関にもこの国際コンソーシアムへの参加を提案していく予定です。

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